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ナノ毒性学 ~ナノ製品の安全性評価~

ナノ毒性学 ~ナノ製品の安全性評価~

978-4-86043-142-6 C3047

¥34,100 (税込)

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発行所:(株)エヌ・ティー・エス
   

◆ 書籍概要 ◆

将来確実に利用されるであろうナノ製品、すなわち、カーボンナノチューブ類、フラーレン類をはじめ、ドラッグデリバリー、量子ドットなどのヘルスリスク関する最重要文献を厳選して翻訳した。
さらに、ナノヘルスリスク問題の展望として、ナノテクノロジーの特性、暗部の解明、英国政府のナノリスク哲学、わが国のあり方、米国の近況と今後について、現状を総括した。

発刊日:2007年4月3日
頁 数:388頁
造 本:B5
発行所:(株)エヌ・ティー・エス
ISBN :978-4-86043-142-6 C3047

■著者
Chiu-wing Lam
Johnson Space Center Toxicology Group
Houston, USA

■主な目次
PARTⅠ 総 説
第1章 カーボンナノチューブ―― 毒性レビューと職業・環境ヘルスリスクアセスメント ――  
第2章 ナノ素材は安全か危険か? ―― 初期の研究結果は一部のナノ粒子の健康リスクを示唆 ―

PARTⅡ フラーレン類
第3章 金属内包フラーレン放射性トレーサーを用いたフラーレンベース素材のin vivo(生体内)研究
第4章 フラーレンの抗原性:フラーレンに特異な抗原とその特性
第5章 水性C60フラーレンからのナフタリンの吸脱着
第6章 水溶性フラーレン誘導体の細胞内所在
第7章 樹枝状C60単一付加物およびマロン酸C60トリス付加物のJurkat細胞に対する細胞毒性と光細胞毒性
第8章 水溶性フラーレンの特異的細胞毒性
第9章 水和性フラーレンのin vivo(生体内)生物学的ビヘイビアー― 14C標識、吸収、分布、排出、急性毒性 ―
第10章 医薬品の可能性のある光励起フラーレン(C60)により生成される活性酸素類:O2-・対1O2

PARTⅢ カーボンナノチューブ類
第11章 ディーゼル排出粒子中の異常なカーボンベースナノ繊維状および連鎖状物質  
第12章 カーボンナノチューブの生理学的テスト:それらはアスベストに似ている?  
第13章 単層カーボンナノチューブ類によるRNAポリマーの移転
第14章 カーボンナノチューブ素材への暴露 ― 粗製単層カーボンナノチューブ材料の取扱い時間中のエアロゾル放出 ― 
第15章 単層ナノチューブ類のマウスにおける異常炎症および線維化反応 
第16章 カーボンナノチューブ素材への暴露 ― ヒト表皮細胞を用いたナノチューブの毒性アセスメント ―
第17章 多層カーボンナノチューブとヒト上皮細胞との相互作用
第18章 単層カーボンナノチューブ類のラットにおける肺毒性アセスメントの比較  

PARTⅣ ドラッグデリバリー
第19章 ナノスケール生物学的鉄酸化物と神経退化性疾患 
第20章 アルツハイマー病の脳組織におけるナノスケール生物性磁性鉄の予備的評価  
第21章 ナノ粒子薬物伝達の脳移行における表面特性の影響 
第22章 ミセル・ナノコンテナの特定細胞質小器官への分布 

PARTⅤ 量子ドット
第23章 半導体量子ドットの細胞毒性の徹底的検討
第24章 前哨リンパ節マッピングのための近赤外線蛍光タイプⅡ量子ドット 

PARTⅥ ナノリスク問題の展望
第25章 ナノリスクアセスメントの現状
第26章 付属資料:英国政府のナノリスク対策 ―加工ナノ粒子によるリスクの特性解明 ―



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PARTⅠ 総 説
第1章 カーボンナノチューブ―― 毒性レビューと職業・環境ヘルスリスクアセスメント ――  
第2章 ナノ素材は安全か危険か? ―― 初期の研究結果は一部のナノ粒子の健康リスクを示唆 ―

PARTⅡ フラーレン類
第3章 金属内包フラーレン放射性トレーサーを用いたフラーレンベース素材のin vivo(生体内)研究
第4章 フラーレンの抗原性:フラーレンに特異な抗原とその特性
第5章 水性C60フラーレンからのナフタリンの吸脱着
第6章 水溶性フラーレン誘導体の細胞内所在
第7章 樹枝状C60単一付加物およびマロン酸C60トリス付加物のJurkat細胞に対する細胞毒性と光細胞毒性
第8章 水溶性フラーレンの特異的細胞毒性
第9章 水和性フラーレンのin vivo(生体内)生物学的ビヘイビアー― 14C標識、吸収、分布、排出、急性毒性 ―
第10章 医薬品の可能性のある光励起フラーレン(C60)により生成される活性酸素類:O2-・対1O2

PARTⅢ カーボンナノチューブ類
第11章 ディーゼル排出粒子中の異常なカーボンベースナノ繊維状および連鎖状物質  
第12章 カーボンナノチューブの生理学的テスト:それらはアスベストに似ている?  
第13章 単層カーボンナノチューブ類によるRNAポリマーの移転
第14章 カーボンナノチューブ素材への暴露 ― 粗製単層カーボンナノチューブ材料の取扱い時間中のエアロゾル放出 ― 
第15章 単層ナノチューブ類のマウスにおける異常炎症および線維化反応 
第16章 カーボンナノチューブ素材への暴露 ― ヒト表皮細胞を用いたナノチューブの毒性アセスメント ―
第17章 多層カーボンナノチューブとヒト上皮細胞との相互作用
第18章 単層カーボンナノチューブ類のラットにおける肺毒性アセスメントの比較  

PARTⅣ ドラッグデリバリー
第19章 ナノスケール生物学的鉄酸化物と神経退化性疾患 
第20章 アルツハイマー病の脳組織におけるナノスケール生物性磁性鉄の予備的評価  
第21章 ナノ粒子薬物伝達の脳移行における表面特性の影響 
第22章 ミセル・ナノコンテナの特定細胞質小器官への分布 

PARTⅤ 量子ドット
第23章 半導体量子ドットの細胞毒性の徹底的検討
第24章 前哨リンパ節マッピングのための近赤外線蛍光タイプⅡ量子ドット 

PARTⅥ ナノリスク題問の展望
第25章 ナノリスクアセスメントの現状
第26章 付属資料:英国政府のナノリスク対策 ―加工ナノ粒子によるリスクの特性解明 ―



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Chiu-wing Lam
Johnson Space Center Toxicology Group
Houston, USA



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序文(和訳)

 ナノスケールサイズの素材を含む研究開発における急速な成長は、ナノテクノロジーを科学およびエンジニアリングの最先端に前進させました。ナノ素材は、粒径100ナノメートル以下の粒子から構成される物質と定義されています。ナノテクノロジーの発足と進展に関連する物質の中で、フラーレンとカーボンナノチューブ(CNTs)の二つが最も重要であります。これら二つの物質、特にCNTsの応用の可能性は、ナノテクノロジーラッシュを誘発させるに至りました。
 日本および日本人科学者の方々は、ナノテクノロジーに大きく貢献されました。スミオ・イイジマ氏は、1980年、アリゾナ州立大学(米国)において、高解像度電子顕微鏡による種々のタイプの炭素の研究中に、彼が「球状グラファイト」と呼んでいる炭素のロールアップ・ボールを発見しましたが、不運にも、彼の発表結果は殆ど注目されませんでした。その5年後、Harold Kroto、Richard Smalley、Robert Curlらは、60個の原子から構成される球状炭素分子を発見し、彼らのチームは、その籠状の分子を「バッキーボール」(C60フラーレン)と命名しました。この発見と合成法およびその後の研究に対して、これらの科学者らは、1996年ノーベル化学賞を獲得しました。スミオ・イイジマ氏はNEC研究所に入所のため、日本へ帰国し、彼は以前の実験を再現し、フラーレンの観察を確認したのみでなく、1991年にはカーボンナノチューブ(CNTs)を発見しました。その後まもなく、イイジマ氏のチームは、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)および多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)の双方の合成に成功しました。
 CNTsは、軽くて強く、ユニークな電気的、機械的、温熱特性を有し、エレクトロニクス・コンピュータ・航空宇宙その他の産業に広範な用途の可能性を持っています。この新しい炭素同素体ナノ物質への大きな期待は、量子ドットのようなその他のナノ素材製品への関心を誘発させるに至りました。ナノテクノロジーおよびナノ物質の開発と応用に対しては膨大な研究努力が集中されてきました。日本は、ナノテクノロジーの研究においては、日本科学技術政策協議会によれば2005年のナノテクノロジー予算に810億円を投じ、世界で第2位の積極的な国であります。米国科学協議会は、今後10年間における世界経済への波及効果は1兆ドルと予測しております。
 ナノ物質の生産増加においては、他のすべての化学物質の場合と同様に、ヒトの健康リスクと環境インパクトの増大は不可避であります。異常な科学特性と未知の毒性を有するこれらのナノ素材の新製品の衝撃は、カナダのETCなどのような一部の組織により、これら素材の製造に対するモラトリアム(一時停止)の要求を誘発させました。また、この懸念は、米国政府機関が、これらの新しい物質について、毒性の発見および環境研究を実施する誘引となりました。これらの重要な研究結果の多くは英語で発表されております。日本の科学界に対するこれらの研究のエッセンスの重要性を踏まえて、元カリフォルニア大学教授の小林剛博士は、これらの重要報告を日本語に翻訳するために偉大な努力を払われました。小林博士は2006年以前に発表された最も重要な研究報告を、画期的な「ナノ物質のリスクアセスメント-健康影響研究の集大成」として2006年7月に出版されました。
 ナノ物質についての研究が矢継ぎ早に報告される事態に触発されて、小林博士は彼の第二のナノ関連資料として「ナノ毒性学-ナノ製品の安全性評価」の発刊を決意されました。ナノ素材製品に世界的な関心が持たれていることは確かでありますが、ラボラトリーや工場では発生しない自然界に存在するナノ物質は、我々の環境中に偏在し、毒性学的検討が行われてきました。過去において、また現在でも、これらのナノ粒子類は超微小粒子として研究の対象とされてきました。我々の環境中で最も悪名高いこれらの粒子類は、化石燃料の燃焼から発生する産物であります。これらの超微小粒子の研究結果は、大気汚染により誘発された心臓呼吸器系疾患との強い関連性を示し、ヒトの死亡率を増加させております。小林博士ご自身も、この問題について多くの研究を発表されました。彼の論文のいくつかは、他の環境保健専門家の報告と共に、彼のナノ物質についての最初の本に収録されております。最近、エルパソ大学(米国テキサス州)のLawrence Murrらは、MWCNTs類は天然ガスの燃焼により生成されることを確認しました。また、MurrらはCNTsは、屋内のほか、屋外環境にも普遍的に存在することも発見しました。MWCNTs製品には、かなりの有害性が見出され、動物においては心臓呼吸器系損傷を発生させるため、我々は環境中の超微小粒子状物質に存在するMWCNTsは心臓呼吸器系疾患の誘発に重要な役割を果たす、と主張しております。この仮説は、小林博士の新しいナノ関連出版物の第1章として収載されております。彼の2冊目の本書には、前著と同様に、注目に値する多くの研究報告を含み、日本人科学者の方々にとって優れた参考資料として、ナノサイズ素材製品および自然界に存在する超微小粒子類を含むサブミクロンについての、毒性学および環境科学研究に対する関心を喚起するでありましょう。本書は、小林博士の最初のナノブックと共に、日本国民の健康を保護する日本の環境保護行政機関および保健科学研究機関のリスクアセッサーの方々のご努力において、貴重な情報をもたらすでありましょう。

Chiu‐Wing Lam
米国ヒューストン
ジョンソン宇宙センター
毒性学グループ