■特集I　サラブレッド競走馬の科学

競走馬であるサラブレッドは，アラブ系品種と英国在来系品種を交配させ，約300年間にわたって「競馬」 による選抜，すなわち勝利した個体のみが子孫を残せるという環境の中で確立された品種である。
サラブレッドは他品種に比べてスマートな体型である一方で筋肉質であり，心肺能力に優れている。
本特集では，サラブレッドがスーパーアスリートである理由について，遺伝学や運動科学などの視点から迫る。
（戸崎晃明）

巻頭グラビア
サラブレッド競走馬の科学 サラブレッドが速く走れる秘密について
佐藤　文夫（日本中央競馬会　日高育成牧場）

特集-総論
競馬とサラブレッド 競馬が競走馬をつくり育てる
戸崎　晃明（競走馬理化学研究所）

特集-1
サラブレッドの定義 血統の登録と遺伝学的検査について
栫　裕永（競走馬理化学研究所）

特集-2
サラブレッドの育成と調教 騎乗を許容させて競走馬としてデビューするまで
頃末　憲治（日本中央競馬会）

特集-3
サラブレッドの走能力 すべては速く走るための適応
大村　一（日本中央競馬会美浦トレーニング・センター）

特集-4
ウマの感覚機能と競馬への集中 アスリートのサバイバルのため視野，聴覚を馬具で制御
楠瀬　良（（公社）日本装削蹄協会）

特集-5
サラブレッドの競走能力と遺伝子 より速いウマの生産へ向けて
印南　秀樹（総合研究大学院大学）

特集-6
サラブレッドの繁殖と生産 サラブレッド特有の生産管理
南保　泰雄（帯広畜産大学）

■寄稿--------------------
特別寄稿
ロールプレイで一般市民から多様な意見を引き出す 「ゲノム編集」をテーマに複数の視点で考え議論する
佐々　義子／真山　武志／田中　利一（特定非営利活動法人くらしとバイオプラザ21）／村中　俊哉（大阪大学）／小泉　望（大阪府立大学）

■連載--------------------
フォトコンテスト
生物科学学会連合「第一回　生きものの “ つぶやき ”フォトコンテスト」 審査発表(2)　

生物のナビゲーションに学ぶ
動物に搭載した人工知能─バイオロギングの捕捉機能を大幅に向上 ［第14回］
前川　卓也／Joseph Korpela（大阪大学）

高校生物・ワクワク宣言!!
六甲山にはどんなキノコが生えているのか!? 地域連携から伝える生物多様性
河合　祐介（兵庫県立御影高等学校）

実験観察の勘どころ
紙で作るスマホ用顕微鏡アダプターの製作と活用
竹下　俊治（広島大学）／浅海　詩織（シンガポール日本人学校）／雜賀　大輔（米子市日吉津村中学校組合立箕蚊屋中学校）／樋口　洋仁（広島大学附属中・高等学校）／三谷　俊夫（福山市立培遠中学校）

大学入試「生物」を攻略する

プレゼンター：道上　達男（東京大学）